ノートルダムの鐘 / THE BELLS OF NOTRE DAME | 劇団四季『ノートルダムの鐘』 ラテン語翻訳

ラテン語歌詞・訳

KYRIE ELEISON
主よ、憐れみたまえ

DIES IRAE
怒りの日
DIES ILLA
その日
SOLVET SAECULUM IN FAVILLA
世界は灰と帰すだろう

構成

KYRIE ELEISON

通常、キリスト教で「KYRIE ELEISON(キリエ エレイソン)」は「主よ、憐れみたまえ」と訳されます。
キリエはキリスト教のミサにおいて重要な祈りのひとつで、以前は「求憐唱」、現在は「憐れみの賛歌」と呼ばれており、その中の歌詞の一部分です。
「KYRIE ELEISON」はもともとはギリシア語の「Κύριε ἐλέησον」で、これををラテン語読みしたものが伝統的にそのまま使用されています。
参考:キリエ – Wikipedia

このキリエは『ノートルダムの鐘』の中では度々出てきますが、この曲ではジェアンとクロード(フロロー)が出てきた後にフロローがノートルダムについて歌う部分で2回、その後ジェアンが教えに背いたことをフロローが明かしてしまいジェアンが追放されるところで2回、ジェアンから子どもを託されたものの殺してしまうべきだと考えてしまう時に2回出てきます。

シナリオによる感情は別にして、劇中でキリエが唱えられる時に「本当は誰に向けられた誰の言葉なのか」や、その時の演技をよく見ると大変おもしろいです。

次に、

DIES IRAE
DIES ILLA
SOLVET SAECULUM IN FAVILLA

これは「怒りの日」を描写した部分です。
「怒りの日」は聖書に描写される審判の日のことで、キリスト教における思想のひとつです。世界の終末である「怒りの日」にはキリストが過去を含めた全ての人間を地上に復活させ、その生前の行いを審判し、天国に住まわせ永遠の命を授ける者と永劫の責め苦を与えられる者に選別するとされています。

「怒りの日」からの部分引用はFinaleなどにもあります。「怒りの日」を「審判のとき」と考えてみると、その場面で誰が裁かれているのか、誰が裁かれるべきなのか、誰が裁こうとしているのかを考えながら見るととてもおもしろいです。

原文は以下の通りです。

Dies iræ, dies illa
solvet sæclum in favilla:
teste David cum Sibylla

Quantus tremor est futurus,
quando judex est venturus,
cuncta stricte discussurus

怒りの日、その日は
ダビデとシビラの預言のとおり
世界が灰燼に帰す日です。

審判者があらわれて
すべてが厳しく裁かれるとき
その恐ろしさはどれほどでしょうか。

───”怒りの日 – Wikipedia

単語

・一般的なラテン語の表記としてはマクロン(¯)はない状態で記載されますが、その有無により翻訳時に意味が異なる可能性を考慮して、辞書的表記としてマクロン(¯)有りの表記も記載しました。歌詞の単語1つに対して複数の辞書的表記がある場合は文脈から正しいと推測されるものを選択する必要があります。
・曲用、活用も含めてまとめているため表が長くなりがちです。
・複数回使用される単語もありますが、歌詞と同時にこの表を見やすいよう、ある程度離れて使用されている場合はあえて重複して表に記載しました。

単語 辞書的表記 曲用または活用、および意味
KYRIE Kyrie ※ギリシア語
「Kyrie Eleison」で成句として扱う。
神よ
ELEISON eleison
(動詞)
※ギリシア語
慈悲を与える、憐れむ
En; have mercy(upon us)
DIES diēs
(名詞 通性)
diēsの単数主格/複数主格/複数対格/単数呼格/複数呼格
1. 日、一日
2. 昼間
3. (多くの場合女性形とで)定められた日、約束
IRAE īrae
(名詞 女性)
īraの複数主格/単数属格/単数与格/複数呼格
怒り、激怒、憤怒
DIES diēs
(名詞 通性)
diēsの単数主格/複数主格/複数対格/単数呼格/複数呼格
1. 日、一日
2. 昼間
3. (多くの場合女性形とで)定められた日、約束
ILLA illa
(限定詞/代名詞)
illeの女性単数主格/中性複数主格/中性複数対格
限定詞である場合:それ、その (En; The)
代名詞である場合:それ、それら
illā
(限定詞/代名詞)
illeの女性単数奪格
SOLVET solvet
(動詞)
solvōの三人称単数未来能動直説法
1. 解く、緩める
2. 解明する、解決する
3. ほぐす、和む、緩和する
4. 取り消す、破棄する、取り去る、破壊する、滅ぼす、破滅させる
5. (予言・約束などを)実行する、果たす、実現する
SAECULUM saeculum
(名詞 中性)
saeculumの単数主格/単数対格/単数呼格
1. 一族、血族、子孫、血統、血筋
2. 世代、同世代の人々
3. 時代
4. 世紀
5. (俗語)世界
IN in
(前置詞)
(+奪格) En; in,at,on
(+与格) En; within
(+対格) En; into、to、about、against
に、で
FAVILLA favilla
(名詞 女性)
favillaの単数主格/単数呼格
消し炭、灰
favillā
(名詞 女性)
favillaの単数奪格