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劇団四季版のPVに登場する「宿命」の由来 | ノートルダムの鐘

「宿命」という言葉

原作を書いたユゴーは小説「Notre-Dame de Paris」(ノートルダム・ド・パリ)の序文で実際にノートルダム大聖堂を訪れたときのことを書いており、その中に以下の記述があります。

 5,6年前のことだが、この物語の作者がノートルダム大聖堂を訪れたとき……いや、さぐりまわったときと言ったほうがいいかもしれないが……、作者は塔の暗い片隅の壁に、つぎのようなことばが刻みつけられているのを見つけたのである。
ΑΝΑΓΚΗ (宿命)
 年を経て黒くなり、壁石にかなり深く彫りこまれたこのギリシア文字の大文字、中世の人間が書いたことを示しているかのような、文字の形やたたずまいにみられるゴチックの筆法に特有ななんともいえぬ風格、ことにその文字が表している悲痛で不吉な意味、こうしたものに作者は激しく胸を打たれたのである。
 私はいぶかった、解き当ててみようとつとめた、この古い聖堂のひたいに、罪悪か不幸かを表すこのような烙印を残さずにはこの世を去っていけなかったほどの苦しみを味わったのは、いったいどんな人間だったのだろうか、と。

───”ノートルダム・ド・パリ(上)

引用の中でも記述されているように、ユゴーはこの『ΑΝΑΓΚΗ』という言葉にインスピレーションを受け、『Notre-Dame de Paris』を書き始めました。『ΑΝΑΓΚΗ』(Ἀνάγκη:アナンケー)とは古代ギリシア語で、「運命」や「不変の必然性」、「宿命」が擬人化された女神を指します。
その言葉が単なる落書きであったにしても、ユゴーはその「宿命」という言葉について考え、探り、物語を紡ぎました。また、ユゴーは小説の中でも『ΑΝΑΓΚΗ』という言葉がある登場人物によって書かれる経緯を描いています。

作中に登場する「ΑΝΑΓΚΗ (宿命)」の文字

ネタバレを含みます。

原作の中では、フロロはエスメラルダに恋心と情欲を覚え、聖職者の責務との間で激しく葛藤することとなります。また、エスメラルダが想いを寄せる男性やエスメラルダに近づく男性はもちろん、エスメラルダの姿を目にする街の人や自身の下僕のカジモドに対してすら強い嫉妬を感じ、時には怒りの涙を流し、時には呪いの言葉を吐いてしまいます。
大聖堂の一室でフロロは弟が見ていることにも気付かず、エスメラルダへの叶わぬ想いと成就できない情欲の中、何事かの考え事をしたかと思えば急に立ち上がり、また座ったかと思うと頭を抱え込むなど、混乱と苦悩を味わいます。そしてその考え事の最中、壁にコンパスで「ΑΝΑΓΚΗ (宿命)」と彫りつけます。
また、その壁には「ΑΝΑΓΚΗ」と彫られる前にも、ギリシャ語で「不潔」を意味する言葉が彫られていたことがわかる描写があります。

フロロから見る「宿命」とは

原作では壁に彫られた文字意外でも「宿命」という言葉が使われます。
フロロはエスメラルダに自分の想いを告げる際に『宿命がわしをとらえたように感じたのだ』と述べ、『われわれはふたりとも宿命の解きがたいいたずらにもてあそばれて、破滅してしまったのだ!』とも表現します。
フロロの立場からすれば、自身が聖職者であること、エスメラルダに出会ったこと、彼女の気持ちが自身に向いていないこと、彼女を自分のものにしようと考えてしまうこと、全てが「宿命」の中にあるものだったと考えられます。

劇団四季版のPVに登場する「宿命」とは

「宿命」とは、人間の意志を越えて人を幸福または不幸にする力であり、避けることも変えることもできない巡り合わせのことです。
「ΑΝΑΓΚΗ (宿命)」という言葉が原作で取り上げられており、PVで使用されている「宿命」という言葉にも「 」がつけられていることから、「宿命」という言葉は特別な意味を持たされていると考えられます。
カジモドの生まれ、その姿、聖職者であるフロローが葛藤すること、ジェアンの死、エスメラルダのジプシーという素性、エスメラルダとフィーバスの出会いなど、全てが「宿命」という言葉に結びつけられていると言えるでしょう。

『愛は「宿命」を変えられるか。』というテーマについては、変えられるとも変えられないとも答えられます。人物の視点によって変えられたからこその結末であるとも、変えることができなかったからこその結末であるとも言えるからです。「宿命」が変えることのできない巡り合わせとするなら、全ては変えられなかったからこその結果、すなわちまさに「宿命」であったとも言えるかもしれません。

あなたは『愛は「宿命」を変えられるか。』というテーマにどんな答えを出しますか?

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観劇記録が中心、たまにその感想やゲーム攻略、Wordpressのこともごくたまに。
すっかりブログを書かなくなったけど相変わらずミュージカルとゲームは好きです。華道は教授資格まではとったものの、センスのなさにより行き詰まってます。
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